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中学生の野球少年に多い腰痛〜分離症〜第2回

更新日:2023年2月20日

この冬に筋トレや走り込み、素振り、バッティングの打ち込みなどをして、一回りも二回りも成長しようと取り組んでいる選手やその親御さん、指導者の方もいるのではないでしょうか?


頑張りすぎて、腰が痛くなってしまったという選手も少なくないようで、相談を受ける事がかなり多くあります。


腰の痛みを感じた時に、『少し休んでみよう』、『湿布を貼って様子をみよう』などあると思いますが、最近の研究では、2週間以上続く腰痛を訴える成長期の選手の50%に腰椎分離症が認められたという報告があります。


成長期の腰痛を侮ってはいけませんね。



そこで、

本日は、『中学生の野球少年に多い腰痛〜腰椎分離症〜』の理解を深める事をテーマにお話ししていきたいと思います。


腰椎分離症とは、腰の背骨の後ろ側にあるリング状になっている椎弓(ついきゅう)の部分が折れて、分離してしまった状態です。

図:Mcdavidより引用


疲労骨折の場合は、骨に少しヒビが入っている状態で、まだ完全に分かれていません。ずっとヒビが入っている状態が続き、ある日そのヒビから、骨が割れてしまって分離した状態になってしまうのが腰椎分離症です


では、

どのような発生メカニズムで起こるのでしょうか?



この図は、腰に痛みがあった選手がどのような動きで腰痛が起こっているのかを表した図です。(成長期野球選手の腰痛発生状況より引用)


その内訳は,前屈み痛(屈曲時痛)16.7%、後ろ反らし痛(伸展時痛)25.8%、後ろに反って捻る動きの痛み(伸展回旋時痛)57.6% でした。(小菅.2020)


実際に腰を後ろに反って捻っている時の動きを表した図があります。(腰椎分離症.西良浩一先生より引用)



後ろに反って捻っている時に、椎弓の部分に力が集中し(赤色)、疲労骨折が生じると言われています。


右投げの野球選手は、左分離症が多いと言われています。


投球動作では、テイクバック(Cocking)から最大外旋(ACC)する時期にかけて、下半身に対して、上半身が右回旋するため、左側の部分に応力が集中し、左分離症を引き起こします。



腰椎分離症はどのような症状なのでしょうか?



分離症の初期の疲労骨折は、レントゲンで発見する事は困難と言われています。


ですので、レントゲンを撮って、目立った所見がなかったとしても、子どもが2週間以上腰痛を訴える場合は、MRIやCTを撮る必要があります(西良.2018)


※MRIでは、STIRという撮影法であれば、初期の分離症を見落とす事もありません。分離している部分の内出血や浮腫も写りますので、早期発見、早期治療に移ることができます。



ご自宅などでチェックする場合は、変法ケンプテストが有効ですので、セルフチェックしてみてください。


ご自身やお子様にチェックして症状があり、なおかつ2週間以上続く腰痛がある場合は、速やかに病院受診をオススメします。




腰椎分離症は大きく3つの病期に分類することができます


初期:初期のひび割れが始まる時期(下から骨折線が入ります)

進行期:完全に別れてしまう時期

終末期:2度とくっつかずに分離してしまう時期

Sairyo.2010より引用



初期の段階で発見することがであれば、硬いコルセットを着用して、スポーツ活動を3ヶ月休むことで骨が94%の確率でくっつくと言われています(sairyo.2010)


この時期に痛みを我慢して、MRIも撮らずにスポーツ活動を続けてしまうと、ヒビが割れて、分離症になってしまいます。


そうすると、約6ヶ月間のスポーツ活動が禁止されてしまいますし、骨が付く確率も下がっていきます。


さらに進行して、終末期になってしまうと2度とくっつかないくなってしまい、その後のスポーツ人生に大きな影響を与えることになってしまいます。




ヒビが入ってしまうと、硬いコルセットをして、3ヶ月以上スポーツ活動を休まなくてはなりません。


学生スポーツの時期の3ヶ月の離脱は、計り知れない程の辛さがあると思います。


ですので、


ケガをしないことが1番大事なことです。



ケガには必ず原因があります。


分離症の場合は、腰が過度に反ってしまって捻られる動きばかりになっているので、疲労骨折が起こってしまうわけです。


そのような動きをコントロールできれば、ケガをしにくいカラダ作りをすることができ、予防をすることができるようになると思います。


また、再発防止にもつながります。




では、

どのような事をすれば、腰に負担のかからないカラダ作りをすることができるのでしょうか?


腰を守るために6つ大事だと思っていることがあります。


①胸郭の柔軟性

②股関節の柔軟性

③伸展優位の改善(姿勢改善)

④スイングや投球の捻る動きに対して、耐えられる機能の獲得

⑤練習量と日数の関係

⑥過度な素振りや投げ込みをしないでスイングスピードや球速を上げるトレーニング



上記を行うことで、分離症の予防にもつながると思いますし、再発防止になると思います。


①〜⑥については、第3回、第4回にお伝えしていきたいと思います。




子どもたちの中には『痛い』と言えない子も多い。


子供の未来を守るために周りにいる大人たちが、変化に気づけることが大きなケガを防ぐためにも重要になってきます。


野球肘や野球肩の認知度や理解度は高くなっており、取り組みによって予防できるようにもなってきていますが、


野球選手の腰のケガに関しては、まだまだ認知度や理解度は低く、そのうち治るだろうとかマッサージで治るだろうというのが現状ではないかと思います。


必要な知識を知って、対応方法を持っていれば、十分予防可能なケガだと思います。



アスリートの腰を守る!!をテーマに第3回、第4回は具体的なストレッチやトレーニング方法をお伝えしていきたいと思います。



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それでは次回もお楽しみに!




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